お知らせ
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作成日:2020/04/29
雇用調整助成金について想う



雇用調整助成金、はっきり言ってとても使い辛いものです。
昭和50年(1975年)に作られた制度で、主に製造業などの工場労働者をメインターゲットとして設計されています。

その制度の基本的な考え方は、不況などで仕事量が極端に減った場合に、労働者を解雇せずに休業手当を支払うのであればその手当分について、一定割合で助成金を支給するというもので、事前に休業の計画を届出ておく必要があります。

今回の新型コロナウイルスによる緊急経済対策でも、この雇用調整助成金(通称 雇調金)が利用できるようになっていますが、誰も予測できない事態でしたので、事前に計画を出してなくても、遡って計画を出せるようにして対応しています。

マスコミの報道などを見ていると、休業手当の全ての額が支給されるように受け止められますが、休業手当の一定部分のみしか支給されません。その上、会社は労働者に休業手当を支払った上で、それを賃金台帳やタイムカードで確認して、審査の上で助成金を支給することになっています。審査から支給まで時間が短縮されるとも言われていますが、長期的にこの休業状態が続いた場合、中小企業などは休業手当を支払っていくこと自体が重くのしかかることになります。それに加えて、休業手当の一定部分の助成金に日額の上限が設定されており、その額は8330円なのです。目いっぱいの支給が受けられたとしても30日分で25万円弱。

この8330円とはどこから出て来るのでしょう?これは、雇用保険の失業等給付の給付基礎日額の上限額と同額です。

ちょっと専門的になってしまいますが、労働者が失業した場合、年齢や勤続年数によって一定日数の基本手当(いわゆる失業保険金)がもらえることになっています。その方が働いていた直近の6か月間の給与に基づいて日額は決まりますが、その上限はどんなに在職時に給与が高くても、日額は8330円なのです。

何故? 基本手当をもらうためには一定の条件があります。雇用保険法にその定義が書かれていますが、「労働の意思及び能力を有するにも関わらず職業に就くことができない状態」にある時、基本手当を受給することができるとされています。基本手当の金額が高いと積極的に就職活動をしないかもしれないので、早期に就職を促すために金額は低く抑えられている、とそんな風に理解して頂ければいいかと思います。

今回、この雇調金について、書類が簡素化されることになっていますが、それでもうんざりするくらいの書類を作らなければなりません。雇調金については、その手続きをしたことのない社労士も多くおり、ハードルは低くはありません。まして、昨今助成金の不正受給をする社労士も少なからず存在しているため、社労士が企業の代行をして申請する場合、不正な受給に対しては、社労士に連帯責任を問うことがルール化されています。

長く、顧問契約を結んでいる会社であれば、賃金台帳やタイムカード、出勤簿などのチェックもそれほど難しくはありませんが、これまでお付き合いをしたことのない会社さんからの依頼の場合、会社から提供される書類の真贋を見極めるのは中々難しく、上述の連帯債務を負うリスクを避けるために依頼に対して及び腰となってしまうのです。

その後の調べで、令和2年4月28日付厚生労働省職業安定局長名で「故意に不正」をしたのでなければ上記連帯債務は適用されないこととなった模様です。

これで多くの企業様へのサポートもできるようになりますね。




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